2013年10月13日日曜日

佐藤正明さんから、雇用問題の質問に対する回答が来ました。

先日の佐藤さんの取材に同行してくださった、
 Sさんの質問への回答が来たので、転載します。
すっごい長いので、気合入れて読んでくださいね。
答えてくださった担当の方、すごいな・・・。
「被災者・県民がつくるあったかい宮城の会」から立候補されたのですが、
「熱い宮城の会」に改名されたら良いのでは。
熱い、熱いぜ。

多分、宮城県だけの問題じゃなくて、
日本という国の方向性とも絡んでいる話だと思うので、
読んでみると、誰しも思い当たる節があると思います。
気合を入れて、ぜひご一読を。

【質問】
被災者支援には、雇用促進が必要と考えています。
3.11から2年7ヶ月が経過し、震災や原発事故被災者の生活は困難を極めています。
若者は、沿岸部より内陸部へ移住していると聞きます。
沿岸部に戻るには、第一次産業で生活できるような政策が必要だとおもいます。
また、原発事故被害者の避難者の中には、
生活のため家族別々の生活を余儀なくされている人がいます。
宮城県に雇用創出政策があれば救われる人もいるのではないでしょうか。
被災者の声を反映しつつの話ではありますが、
雇用促進についての対策はお考えがありましたら、お教えください。
よろしくお願いします。

【回答】
ご質問、ありがとうございます。
沿岸部の人口減少はご指摘のように非常に深刻で、
県統計では気仙沼市の人口減少が大きく、
震災前の約7万3千人に対し、
今年9月1日で6千人もの減で約6万7千人。
南三陸町、女川町では減少率はもっと深刻です。
これは被害の大きさ、住宅や雇用の場が
いかに大規模に失われたかを示しています。
被災地と原発事故避難者を含めた被災者に対する
総合的な対応が必要ですが、
その中でも働く場を確保することカナメの一つです。
とくに今、ガレキ処理作業が終息に向かっているので、
そこで働いていた人たちの次の働く場所を確保することが
緊急に求められています。

●緊急雇用は、「基金」を活用した具体化を急ぎます

まず、緊急の雇用対策です。
国からの交付金である「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を活用して
緊急に働ける場を作ります。
決算時(3月末)に808億円(3月末)の残高がありましたから、
万人単位で緊急雇用を支えることが可能です。
ただし、今年度中に契約しておかないと
来年度にその人の雇用には適用されなくなるといった
「シバリ」がかかっているので、
実態を踏まえてこれをなくすよう国に認めさせます。
すでに超党派で働きかけが始まっているので、必ず実現します。

●被災地の生業再開を応援して雇用の回復を進めます

次に、被災地の農業・漁業の再建を進めて、
働いていた人が戻れるようにします。
村井さんの「富県戦略」は、
大企業誘致に一面化し、
農林水産業の予算をどんどん削っていますが、
復興でも農業では農地の「大区画化、集約化」(マニフェスト)に
一面化しています。
これは小さい農家を切り捨てて農業従事者を減らす方針です。
私は、規模の大小を問わず、再開したい農家すべてを支援して、
兼業も含めた農業分野の雇用維持に努めます。
水産業については、漁業者がいるすべての漁港を復旧し、
村井さんのような「集約化」は考えません。
漁業資源維持や安全航行などに漁民の連帯は不可欠で、
これを壊す「水産特区」を撤回して、
養殖、定置網等の漁に復帰できる人を増やします。
家族経営も含めて、新たに農林魚業に従事する人には
月10万円程度の所得を5年間保障する制度をつくり、
生命産業を新たに支える人を応援する県政を進めます。 

●雇用の主役=中小企業支援に転換、被災地の生業再開を応援

 地域経済の主役は中小企業で、雇用の大半はここに依存しています。
だから、通商企業の再開を総合的に支援することこそ、
雇用を元に戻し拡大する中心の政策です。
村井さんもこの点は認めています。
沿岸部では、せっかく工場を再建するグループ補助金をもらえることになったのに、
地盤沈下したところに土盛りする「かさ上げ」が進まないために仮工場しか再開できず、
雇用も以前の数分の一にとどまっているケースがあります。
まちづくりを急ぐことで事業再開を推進し、雇用の回復を進めます。
気仙沼市などで、村井知事が高すぎる防潮堤を住民に押し付けて、
まちづくりの妨害になっています。
国の指針は、防潮堤が壊れる前提で津波浸水を想定して、
まちづくりを進めることになっています。
堤防は万全ではないので、避難の確保など、
防災は総合的に考えることになっています。
堤防の高さは、景観・環境・産業への影響などを総合的に
考えて決めるのが海岸法の趣旨です。
私は地元の提案を尊重して計画を変更し、
住み続ける人たちの復興に全力をあげます。
村井さんは、高すぎる防潮堤を押し付けて、
住民のいない地域になってしまうことを意に介していませんが、
念頭に「沿岸被災地等への企業誘致」(マニフェスト)があるからです。
大企業誘致と大型開発に県政を一面化している「富県 戦略」こそ、
復興の最大の妨害になっていることに目を向けてください。
再開した企業は、休んでいた間に別の企業に取引先を奪われ、
事業規模が以前より下回った状態で、
その結果として雇用が回復していません。
そこで、県が販路の拡大などをもっと支援するようにします。
他にも、仮設住宅を循環する通勤・買い物・通院を支援するバスなど、
雇用に効果のある対策を推進します。
これらの事業を進める財源には、
「みやぎ発展税」(年約30~40億円)をふりむけます。
これは県内のすべての事業所に負担していただいている税金
(法人税に上乗せして課税している)なのですが、
これまではトヨタ自動車や東京エレクトロンなどの
誘致した大企業誘致にバラまかれてきました。
しかし、地域経済と雇用の主役は農林水産業と中小企業ですから、
私は中小企業を応援して雇用を拡大するために活用します。

●長期的な雇用拡大の戦略の第2は医療・福祉・教育の充実

 医療・福祉・教育の充実で、雇用を拡大します。医療や福祉の産業では、
人件費にその事業の大半が使われるので、
非常に雇用効果が大きいのです。
ここを充実させることは、若者の雇用に効果があり、
専門性の高い学校・大学に学んでいる学生たちに大きな励ましになります。
例えば保育ですが、「安がり」「民間まかせ」の保育政策が原因で、
募集しても保育士に応募しない、
保育所の待機児童が減らない事態があとを立ちません。
行政の責任で、認可保育園を増やす政策に転換して、
待機児童をなくし、暮らせる賃金をもらえる保育の雇用を増やします。
同じことが介護などにも言えます。
 「35人学級」は小学1・2年と中学1年だけなので、
すべての学年に拡大していき、教師を増やします。
競争主義をやめて、「誰でも自分らしく伸びる」教育に変え、
被災体験で心のキズを抱えている児童生徒に向き合う教育を進めたいのです。
 
村井県政の「富県戦略」は、大企業応援と表裏一体で社会保障や
教育を切り捨ててきたので、福祉・教育の行政水準が全国最低ランクです。
震災前まで、就職難が深刻な県として沖縄、青森に続いて、
宮城県がワースト3位を続けてきたのは、県政に問題があったからです。

●ニセの「行革」=公務員バッシングにだまされてはいけない

 雇用に関わる問題で、ぜひみなさんに知ってほしいことは、
「公務員天国」などと一面的に取り上げる「公務員バッシング」が誤りだとういう点です。
 村井知事は、平成の大合併を主導し、71市町村を35市町村に半減させました。
そして2010年までの5年間に、県職員2600人、
市町村職員2000人、合計4600人もの自治体職員を削減しました。
その直後に大震災が襲い、いま県も市町村も職員不足が復興の障害になっています。
社会全体に奉仕する公務労働の役割を正しく評価してください。
残っている職員は、残業に次ぐ残業で、うつ病などが蔓延するようになっています。
私は、復興を加速するために国と全国の自治体に応援派遣を求め、
県職員の市町村への応援派遣を進めるつもりです。
当然、復興のために必要な県職員を増員するつもりです。
もちろん、雇用の拡大になります。
 村井さんのいきすぎた「行革」が、復興を妨害し、
公共部門の雇用を縮小してしまったことは厳しく批判しなければなりません。
市町村だけでなく、都道府県までリストラする道州制(村井さんの持論)は、論外です。

●大企業誘致は、正規の拡大には効果がなく、雇用創出には限界が

最後に、トヨタ自動車(当時の名称はセントラル自動車)が
宮城県に移転してきたとき、従業員は神奈川県・相模原から移転してきて、
地元採用はあまりありませんでした。
公表された新しい雇用は200人前後で、
身分は派遣や臨時が多く、正規雇用はわずか30人程度でした。
誘致した大企業により、どれだけ正規雇用が増えたか、
村井県政はその後、数字も発表しなくなりました。
世界に展開している企業は、
人件費などのコストを抑えて利益を上げることが狙いで進出先を選んでいます。
ソニーが、多賀城市と登米市(豊里)で、
大震災後に793人のリストラ計画を進めています。
つまり、大企業は進出もすれば、撤退もするのです。
村井知事の陣営が、進出した企業名だけをあげて、
撤退した企業にはふれず、
どれだけ雇用が増えたかも明確にしないのは、
大企業誘致に依存する雇用対策には大きな限界があるからです。

●復興と雇用を妨害―暮らしも財政も壊す消費税増税をストップ

私は、消費税増税を中止するよう、県政の場から全力をあげます。
増税反対の世論と運動は急激に広がっており、
国政選挙がない中で、宮城県民の意思表明は国政を動かす力になります。
いま消費税は税率10%ですが、
宮城県民の消費税負担額は2413億円(2010年の推計値)です。
8%への増税による負担増は約1500億円。
それだけ消費が減って経済が収縮し、雇用も奪われます。
住宅再建などにとりかかる被災者には新たな負担になり、
消費税増税は復興の妨害です。
消費税増税は、日本全体に、暮らしも経済も壊す作用を及ぼします。
増税分の大半をばらまく方針で、財政再建にもなりません。
景気が冷え込むというのなら、増税そのものをやめるべきです。
すでに生活保護は切り捨てが始まり、年金は10月分から引き下げ、
来年は医療費の負担を増やす計画です。
「社会保障のため」という消費税増税の口実は、使い古されたウソです。
バラまきの大半は法人税減税にあてられ、
恩恵をうけるのは黒字の大企業ばかりです。
赤字が常態化している個人事業主や中小企業には、
(赤字で法人税をもともと納税していないので)減税はなく、
増税と負担増になりますから、踏んだり蹴ったりです。
私たちは25年間、復興増税で所得税を以前より多く負担し続けるのに、
「がんばろう 日本!」から、大企業だけ逃げ出していいというのは、
納得がいきません。
この消費税増税を、2011年5月に政府の復興会議で
真っ先に提案したのが村井知事でした。
私は厳しく批判されるべきだと考えています。

●TPP(環太平洋連携協定)は農林漁業も保険も国家主権も壊す

 TPP参加について、専門家は、「アメリカが経営するぼったくり
バーにはいるようなものだ。日本は徹底的にカモにされるだけだ」と、言っています。
TPPが、農林水産業を壊滅させることをご承知ですか。
TPP推進の自民党ですら、「聖域」を設けると公約したほど、
公的医療保険、食品の安全、そして国家主権にも致命的な打撃になります。
雇用への悪影響は計り知れません。
私は、TPPストップに全力をあげます。
ところが、北海道東北の知事が軒並みに反対を表明しているなかで、村井知事だけがTPPに反対せず容認しています。

●宮城県と日本の進路を問う、巨大な意義をもつ選挙です

安倍内閣が、財界の言うままに、
消費税増税、TPP、原発再稼働と輸出、
社会保障の全面的な改悪、道州制などを進めようとしています。
目先の利益を追い求める大企業を応援する中味の政治ばかりです。
これを宮城県政で推進しているのが村井県政です。
ですから、今度の宮城県知事選挙は、個々の政策というよりも、
宮城県と日本の進むべき道が大きく問いかけられている選挙になっています。

・大企業誘致一面化の「富県戦略」を、
暮らしと地域経済の主役であるから農林水産業と
中小企業を優先する「ふるさと再生」に転換する。

・大型開発優先の「創造的復興」を、
被災者の生活を支援し、
被災地の生業と住宅を再建する「人間の復興」に転換する。

・放射能対策は、ゼネコンの仕事づくりになる除染と処分場を優先させる県政を、
県民の命と安全を守る健康調査、
海産物など食品のモニタリングなど、
子ども被災者支援法の精神で対策を進める県政に転換する。

・女川原発再稼働容認の県政を、
再稼働中止、「原発ゼロ」を宮城県から進める県政に転換する。

・財界言いなりに消費税増税やTPPを進める安倍政権に、
国民の立場からストップをかける県政を誕生させる。

以上が、争点だと考えています。
結論的に言えば、雇用確保の最大の障害が「富県戦略」です。
私たちが、基盤産業である農林水産業と中小企業を支援する、
福祉・医療・教育を充実する県政を訴えている理由は、
それが雇用の分野でも大道を切り開くことになるからです。

2 件のコメント:

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  2. 文字に間違いがありましたので書き直します(汗
    今回もすばらしい行動で私たちに伝えてくださりありがとうございます。
    シェアさせてください。
    村井さんのインタビューも読みたいですね♪
    河北の記事の中に村井さんの公約で「小中の不登校出現率を全国平均以下に」と
    ありまして、
    精神科の早期介入を危ぶみました。「不登校」から「病欠(うつ)」に?
    不登校には家庭の事情も絡むことも多いと思うので「出現率」という言葉や数字で考えるのは危険ではないかと想像しました。

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